音楽祭を契機に障害者の表現活動に関わる“みんな”を広げる「出会いと学びのプログラム」。8月23日(火)に〈劇場・音楽堂等の職員、テクニカルスタッフ、アーティスト等〉に向けた第1回目の研修を開催しました。講師に南部充央さん(一般社団法人日本障害者舞台芸術協働機構 代表理事)を迎え、誰もが参加できる場の作り方について考えました。
南部さんは、大阪を拠点に障害者も参加できる舞台芸術の企画制作・運営に携わっておられます。講座では、劇場や音楽堂などが担う役割が時代によって変化してきたことを学びました。良質な芸術を届ける場から経済的な評価を求められる時代を経て、現在は社会包摂や多様性が求められる場となっています。誰もが参加できる場を作るには何が必要か。「誰もが参加できるじゃんけんの方法を考える」というグループワークを通して議論しました。
2016年に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」、通称「障害者差別解消法」が施行されました。南部さんはこの法律で、障害は人にあるのではなく、人と社会の間の環境にあるという考え方に置き換わったことに最も注目しています。
例えば、「視覚障害者も楽しめる演劇公演」に必要な対応は音声ガイドだけでしょうか。南部さんは舞台制作の経験から、障害特性と基本の対応を知った上で、情報発信から会場への移動、鑑賞時と順を追って一つずつ課題を洗い出し、解決方法を検討することが大切だと伝えます。
最初の段階である、障害特性と基本の対応をより具体的に知る方法の一つに、体験があります。今回は、視覚障害の一つである弱視の体験を行いました。特殊なメガネをかけ、白黒反転させた文字を見比べることで、どうすれば読みやすくなるのか考えることができました。
参加者からは「健常者が障害者にどう見えるのかを聞きづらいこともあり、コミュニケーションに課題を感じている」「障害のある人への配慮はすべての人にとって使いやすくなる可能性があるという視点は大切にしたい」「実際に体験して知ることができてよかった」といった声があがりました。
現在、糸賀一雄記念賞第二十一回音楽祭では、クラウドファンディングに挑戦しています!以下のバナーをクリックして、ご協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。