今回は、9月22日に行われた「出会いと学びのプログラム」プログラムA第2回のレポートをお届けします。現在、音楽祭のチケット発売中です。以下のバナーをクリックしてお求めください。また、クラウドファンディングへのご支援、ご協力もよろしくお願いいたします。
障害者等の表現活動に関わる“みんな”を広げ未来につないでいくプロジェクト。劇場・音楽堂等の職員、技術スタッフなどを対象とした出会いと学びのプログラムの第2回を9月22日に開催しました。会場はひこね市文化プラザです。
前半は「舞台芸術の鑑賞サポートについて」。講師の山上庄子さん(Palabra株式会社)から作品のバリアフリー化などについて紹介いただきました。山上さんは映画の字幕・音声ガイドの制作を中心に、演劇など舞台芸術作品のバリアフリー化などに携わっています。
鑑賞サポートは公演情報の入手、劇場へ着くまで、劇場内での移動、作品そのものへの情報保障など、あらゆる段階で対応が必要ですが、山上さんは、「障害のある人の状態や希望を聞きながら、設備や予算に応じてできることから取り組む」ことが大切だと言います。
「観客はサポートがあるから来るのではなく、その作品を観たいから来る。鑑賞サポートはともに楽しむためにある」と山上さんは考えます。障害の状態によって、必要なサポートも異なるため、当事者とコミュニケーションを重ね、一緒に考えながら、できることを見つけることが重要です。
他にも、サポートの有無を明確に伝えること、当事者団体などを通して情報発信すること、助成金や相談窓口(*)等の活用についても紹介くださいました。
*UDCastサポートセンター「文化芸術全般の鑑賞サポート相談窓口」(リンク https://udcast.net/release/)バリアフリー観劇・鑑賞サポートの相談窓口。主催:文化庁、Palabra株式会社
後半は、障害者や支援者などから、劇場での鑑賞をめぐる体験談や願いを聞き、文化施設に求められる支援について考える座談会を開催しました。
視覚障害当事者の山野勝美さん(滋賀県視覚障害者福祉協会 副会長)、身体障害当事者の髙野正子さん(滋賀県身体障害者福祉協会 青壮年部女子部長)、元特別支援学校教頭の原一正さんがそれぞれの鑑賞体験を語りました。
山野さんは盲導犬を伴って舞台鑑賞をした際に、盲導犬を拒否されたことはない一方で、「会場に到着できても内部の状況がわからず困ることがあった」と言います。
髙野さんは「以前に比べるとバリアフリーは改善され、楽しんで帰ることができる状況がある」と感じることが多いそうです。
原さんは、知的障害や発達障害のある生徒を舞台公演に引率した際に、子どもたちが最後まで集中していられるか不安があったと言います。座席が選べないことや支援者と隣同士で座れなかった体験、たくさんのチラシを渡す方法などについても語られました。
参加者からも「当事者の方の声、(支援の)プロの方の話が聞けて、とてもよかったです」という声や、「『バリアフリーはすべての人のためになる』という話に説得力を感じました」といった感想が聞かれました。